人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ラテン系会社員、先生になりました。


by チャー先生

博士の愛した数式。

第1回本屋大賞受賞作品。
前々から読んでみたいと思っていましたがなかなか時間が取れず、
風邪を引いて寝なければいけない状態になってしまったこの時がチャンスとばかり
熱に冒されてフラフラの帰り道に購入しました。

失礼ながら小川洋子作品は芥川賞をとった「妊娠カレンダー」を高校の時読んだきりだったので、「こういう作風の人だったのか!」という驚きがまず最初。
最後まで読み終わって、ほろりと一粒涙がこぼれました。
切ないけれど静かな幸福感と、爽やかさを与えてくれる作品です。

話題の中心は数学と野球。
数学アレルギー、野球のルールを知らない私にはどうかな?と手に取る前は不安でしたが、
とても楽しく読めました。
江夏を愛する人には、もっと心に響くものがあるでしょう。

私の場合、大好きな叔父が数学者なので博士のキャラに共感するところが大きく。
もちろん博士ほど極端ではありませんが、偏屈で頑固、なのに無類の子ども好きという
点では共通しているので、ページの折々で叔父の顔をを思い浮かべながら読んでいました。

時折ふらりとやってきては「脳みその味について」など気持ちの悪い話をとうとうと
語る叔父は、幼い私にとって「へんなおじさん」以外の何者でもなく・・・。
しかし不思議と通じるものがあり、ふたりで仲良くいびつな三角形を描いて
遊んだりしていたことを思い出します。

そんなわけで、ルートと博士が心を通い合わせる場面はことさら強く印象づけられました。

心があたたかくなりたい人は、ぜひ。
by songbirdm | 2005-10-29 11:20 | 読書